2011-01-01から1年間の記事一覧
昨日、ふと、読みかけたままにしてあった北杜夫の「母の影」の文庫本をバッグに入れて出掛けた。 何冊もよみかけの本があったのに、なぜかその本を手に取り、電車の中で読んだ。 北杜夫の母親、ダンスホールの男に入れあげて新聞沙汰になって、別居をよぎな…
この夏、一ヶ月の間に、何度もレントゲンを撮って、被爆量は大丈夫なのかと思った。 首から下、全身だ。 心臓が肥大しているという。 「危ないかもしれませんよ。覚悟して下さい」 と女の先生は言った。 悲しい‥‥。 レントゲン室から帰って来た狛犬に首輪を…
そしてオバサンになったのかもしれない。 長い坂は、だらだら坂だったかもしれないし、急勾配と下りが組み合わせてあったかもしれない。 ま、とにかく、高校時代の友人たちが、このごろ、ようやく暇をみつけて集合する。 オバサン年齢にはなったけれど、みん…
微妙に歯が痛くなり始めて、歯医者に行かねばと思いながら数ヶ月。 まず、心の準備のため、部屋の大掃除。 断捨離、とばかりに、押し入れから始まり、本棚、洋服ダンス、と物を捨てたり整頓したりした。 3月11日の大震災で、部屋の中のあちこちが崩れて、…
夏至は、一昨日、あるいはその前日、だったろうか。 そう、夏至。 一年のうちで、いちばん心がのびやかになる時期。 ベトナム映画の「夏至」を、かつてBunkamuraで観たことを思い出す。 あの、けだるく、幸福感に満ちた倦怠の時間。 そして、その裏側にある…
東日本大震災、と命名された大地震が起こってから3ヶ月。 呆然、無気力、といった時間が過ぎて行った気がする。原子力発電所が水素爆発を起こした映像は、テレビの画面では小さく、そのスケールがどんなものか、はっきりと捉えられなかった。 水色に白い波…
東京に住んでいる私は、東北地方の被災者の方々が、どこか身代わりになって下さったような、罪悪感を感じながら、大津波が家や車、町そのものを飲み込んでいく映像を観ていました。原子力発電所の事故が、解決されず、重苦しい不安にじわじわと苛まれ、生活…
ウチの狛犬のコマちゃんは、眠くなると、皮手袋をくわえて来て、 「ねぇ、一番、取ってよ〜」 と、おねだりする。 犬相撲だ。 それが、彼女の寝る前の儀式。仕方なく、左手に工事用皮手袋をして、 「お座りっ! まだだよ〜、まだだよ〜」 と、じっと見つめる…